1.自主防災組織の意義
自主防災組織とは、災害対策基本法第5条2において規定されている、地域住民による任意の組織です。市町村は「住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織」として、その充実に努めなければならないとされています。
自主防災組織は、地域住民が自分たちの地域は自分たちで守るという自覚と連帯感に基づき、自主的に結成する組織です。
自主防災組織が注目されはじめたのは、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災以降です。阪神・淡路大震災では生き埋めや建物等に閉じ込められた人のうち、救助された約95%は、自力または家族や隣人によって救助され、専門の救助隊に助けられたのは、わずかに1.7%でした。これは道路や橋梁等の公共施設が被害を受けたことと、被災者数が膨大であったために、公的な消防防災体制の機能が限界に達したことを意味します。
大規模災害では、自分達の命や財産を災害から守るために、組織的な消火活動や応急手当てが必要となります。救助活動や消火活動を公的機関のみに頼るのではなく、自主防災組織を結成して、地域住民による組織的な防災活動ができるよう日頃から防災に対する備えが必要となります。
2.自主防災組織の結成単位別の特徴
① 自治会 = 自主防災組織
・自主防災組織という形式で役員も兼務する。
・組織作りが容易で、継続しやすい。
・住民にとって組織の仕組みが分かりやすい。
・自治会の役員の交代によって、活動方針や熱意が変わる。
② 自治会の下部組織
・町内会の一部として自主防災活動部門を設置する。
・組織作りが容易で継続しやすい。
・経験が蓄積され専門性が高まる。活動の独自性を発揮しやすい。
・自治会の役員の交代によって、活動方針や熱意が変わる。
③ 自治会とは別組織
・別個に全く独立した自主防災組織を作る。
・組織としての下地がないため組織作りが難しい。
・経験が蓄積され専門性が高まる。活動の独自性を発揮しやすい。
・同一地域に二人の長がいて、混乱や対立が起こりやすい。
◎ 福王台自治会の場合
福王台自治会「自主防災組織規定」に基づき、分区ごとに自主防災組織を結成、分区長が隊長を努めています。前述の①に当たります。
・第1分区自主防災組織
・第2分区自主防災組織
・第3東分区自主防災組織
・第3西分区自主防災組織
・第4分区自主防災組織(4分区+5分区)
3.防災資機材の貸与について
市の予算内で、発電機、担架、かまどセット、スコップ、チェーンソーなどの防災資機材を貸与します。(結成時約40万円)
なお、保管場所の確保及び貸与後の資機材の点検整備、油脂類などの消耗品の補充は、自主防災組織において対応していただきます。
4.自主防災組織の年間活動内容
1)4月〜5月
① 連絡系統図の提出
新年度の連絡系統図を提出していただきます。
② 防災資機材の点検整備
市から防災資機材の貸与を受けている組織は、資機材の点検整備を行い、その結果を市役所へ報告していただきます。
(市役所から貸与品の一覧が送付されますので、その一覧の資機材をチェックしていただきます。)
2)5月〜6月
① 自主防災組織リーダー研修会への参加
毎年1回、市役所の防災担当課が主催して実施する研修会で、各自主防災組織から選出された代表者1名程度に参加していただく防災に関する研修会です。
(誰が参加しても構いません)
3)2月〜3月
① 事業報告
年度末に、1年間で行った事業の概要を市役所へ報告していただきます。
報告の依頼及び、報告様式は市役所から送付いたします。また、電子データでの送付もできます
4)随時実施するもの
① 防災訓練の実施
防災訓練は年1回以上実施するようお願いいたします。
なお、あらかじめ市へ連絡いただくと、消防署・消防団が講師となって訓練用の消火器を使った消火訓練や、けが人の応急処置などの実技指導を受けられます。
(別紙:自主防災組織防災訓練メニューについて(お知らせ)参照)
※市の担当者が進行も行います。
② 防災資機材の点検
防災資機材の貸与の条件として、年4回以上の資機材の点検をお願いしております。
5)その他
各自主防災組織において様々な活動を行っていただいておりますが、活動の例としては、次のようなものなどがあります。
・地域内で危険な場所を地図に書き込んだ危険箇所マップの作成。
・1人では避難の難しい方の自宅の位置の把握、避難訓練時に併せて、その方のお宅を訪問する安否確認訓練の実施。
・資機材の点検時に、発電機等の防災資機材の使用方法を学ぶ講習会の実施。
◎ 自治体に対して、H25に「避難行動要支援者名簿」作成が義務化され、R3に「避難行動要支援者の個別避難計画」の作成が努力義務化されました。
「避難行動要支援者」とは、災害時に自力で避難することが困難な高齢者や障がい者、難病患者、乳幼児、妊婦などの人を指します。
「個別避難計画」とは、避難行動要支援者一人ひとりの状況に合わせて、災害時に「誰が支援して」「どこに避難するか」「避難する時にどのような配慮が必要になるか」などを記載した避難行動計画のことです。
「避難行動要支援者名簿」は分区長や民生委員に渡されていますが、大規模災害時に、全ての要支援者の把握をすることは困難だと思われます。
そのため、要支援者本人からの拒否がない限り、個々の支援者あらかじめ決めておくなどの支援体制を構築していくことが大切です。
支援体制の整備を行い、防災訓練時には安否確認や、個別に避難場所まで移動する訓練などを実施している組織もあります。